ようやくワンピース24巻

hoshi_bushi2011-07-07

1月くらい前からワンピースを読みだして、只今24巻。空島編です。
漫画を読むのがめちゃめちゃ遅いので、全然進みません(+_+)


読んだ感想。   評判は少し行き過ぎなのでは・・・?という感じ。


良いところ
キャラクターが個性的で、それぞれキャラ立ちしているところや、きちっとドラマを持っているところ。
それと、ワンピースはかなり独特な世界設定ですが、その世界で通用するルール(例えば、グランドラインの気候の変化が著しい理由やノックアップストリームの仕組み)が、物理的にあり得るのかは別として細かく説明されており、「そういうもんだ」とごまかさない姿勢に好感が持てるところです。


悪いところ
低年齢層向けの漫画なので仕方がないのかもしれませんが、体力の回復が早すぎること。
たとえ腹をえぐられようと骨が折れようと、数日で全快して戦線に復帰している。だから、ワンピースでは、命や身体というものがとても軽い。戦闘中に主要キャラの「死」が見えることはないし、どんなに傷ついても数日で回復する(酷いと、全身を骨折しても次の話では包帯ぐるぐる巻きの状態で歩行している)から、敵からダメージを受けることの重みがない。非常に薄っぺらい戦いを繰り広げている。ルフィは「海賊になる以上命を懸けてんだ!」みたいなことや、「死んでも守る!」といったセリフを言うけど、全然重みがない。
カイジでたとえるなら、「俺は、俺の全財産であるこの1円で勝負する!」と言っているようなもんで、読み手からすると「1円なんか、なくなってもすぐ手にはいるやん・・・」という感想しか出てこない。やはり1億とか数千万は賭けて頂かないと…。


この悪い点をワンピースが好きな友人はどう思っているのか、尋ねてみたら、「ワンピースは基本的にコメディーだから、深く考えちゃいけないよ。」とのこと。目の前にあるバトルだけ、キャラの啖呵だけを見て、命の設定とかは考えずに、尾田さんが用意した感動のラインを上手く辿るのが一般的な楽しみ方のようです。確かに小学生とか中学生ならそうやって読めるんだろうなぁと納得。年をとってから読んだのが残念に思えました。友人は「このご時世だから、ああいう元気の出る漫画が求められてるんじゃないかな」とも言っていました。


とはいえ、かつて自分が読んできた漫画は、「死」や「怪我」といったものを現実に近づけて描くことで、戦闘シーンの一撃一発の重みを出し、僕らにハラハラドキドキを与えてくれていたような気がします。そういうものを体験してきた世代には、ワンピースはちょっと軽すぎて、話のネタ程度に読む形になってしまうと思います。
あくまで予想ですが、ワンピースを高く評価している世代は、小学生、中学生、そして、ワンピースを小さいころから読み、この軽さに違和感なく入り込むことのできた人たち(もう10数年も続いていますしね。)、また、バトルものをあまり読んだことのない女性なのではないかと思います。


それともう1つ悪い点があります。それは、この漫画にはキャラクターの「成長」が描かれていないことです。
少なくとも24巻まで、麦わら海賊団に成長はない。キャラの過去のエピソードを紹介することで、現在に至る過程は描いていますが、ストーリーの進行を通して麦わら海賊団は何1つ進歩していません。
経験を経て強くなったり、より強固な信念を持ったり、挫折を乗り越えるといった、少年誌にお決まりの展開が、24巻だというのに全くない。もしかしたら、「努力なんてダサい」とか「俺は生まれた時から凄いんだ。他の人とは違う。」といった小学生によくある考えに便乗し、敢えて外しているのかもしれませんが。
しかし、成長を描くことで伝わる人間味といったものが失われており、僕はこの構成には賛成しかねます。


・・・さて、酷評してしまいましたが、僕もこれまで何百という作品に触れてきているので、小手先の感動話は通じません。
コメディにするなら、とことんコメディにし、人の生き死にを出して感動を誘うのはやめる。人の生き死にを感動に絡ませたいならもっと現実に近付ける。そうしないと、現在インスタントな感動を得て評価している人々からも、後で読み返したらそれほどでもなかったという評価を下されかねないでしょう(感動した経験による補正は残ると思いますが)。


全て読んでいないので、暫定的な結論です。


世間では高く評価されていますが、


今から大人が読むのには、向かない作品!