リアル1〜3巻

〜〜以下ネタバレ含みます!!〜〜


この漫画はバスケットボールをする男達のお話。しかし、ただのバスケットボールではありません。車椅子バスケです。戸川清春野宮朋美高橋久信という人物がこの物語の主人公のようです。


戸川清春は中学の時、陸上部に所属していて、全国大会レベルの走力を持っていたものの、骨肉種に罹り右足を失う。そして経緯は不明だが、現在車椅子バスケをしている。
野宮朋美は女の様な名前だけどイカツイ男。彼は高校のバスケ部でエース級の活躍の出来る男だったが、バイクによる事故で腕を負傷。まだバスケは未だ出来るようであるが、バイクに一緒に乗せていた女の足を不自由にしてしまった事への贖いのつもりか、バスケ部内の不和からかバスケ部を辞める。現在は高校も辞めフリーター。
高橋久信は野宮と同じ高校のバスケ部で野宮とツートップにいた人物。バスケ部では中心的人物であったが、決して性格は良くなく、野宮など気に入らない人間をハブったりしていた。しかし、自転車窃盗の際の事故により脊椎を損傷、下半身不随となる。現在入院&リハビリ中。
これが3巻までの各人の様子です。


高橋と野宮の仲がめちゃくちゃ悪いのですが、今後二人の仲がどのように変化していくのかは見所です。
車椅子バスケの話ということもあり、登場人物全員に悲惨な過去があります。各人が歩けなくなったエピソードは非常に現実味があり、僕らに起きても全く不思議ではないこと。それなので、読んでいてとても恐ろしくなります。普段足があることが当たり前の僕らですが、普通に歩けることはとても喜ばしいことだということを感じさせられます。


印象だった台詞は3巻の、高橋が小さい頃のバスケクラブのコーチが偶然病院で高橋と再会し、現在の高橋の状況を把握した時の回想シーンの台詞です。高橋は幼い頃に父親が蒸発してしまったのですが、その時に高橋に言った台詞を、コーチは現在の高橋にそのまま言います。
「あのマジックジョンソンがHIV感染を発表した時・・・
俺は『なんでよりによってマジックが』と思った。
あれ以来よく考えるんだ。
神サマか仏サマか何かそれっぽいものがいるとして・・・・
その神サマは『この人間だったら乗り越えられる』そう判断してマジックを選んだんじゃないかって。
俺の勝手な考えだけどさあ、その神サマが、久信お前のこともみてるんじゃないのかなって。
この子ならきっと乗り越えられると判断してお前を選んだ・・・
俺は最近そう思うんだ。」


井上雄彦さんの作品は人間臭さがあってとても好きです。喜びとか、悲しみとか、恥ずかしさとか、憤りとか、この立場の人間ならやっぱりこういう態度になってしまうんだろうなとか、漫画の随所に共感できる描写があります。現代の若者の心理を的確に表現しているように思います。これからの展開にも期待です。


リアル 1 (Young jump comics)

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リアル 2 (ヤングジャンプコミックス)

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リアル 3 (ヤングジャンプコミックス)

リアル 3 (ヤングジャンプコミックス)