ラーゼフォン多元変奏曲


   〜以下ネタバレ含みます〜


今、NTTのFLET'S SQUAREで無料配信しているので拝見させて頂きました。
本編の総集編であって、単なる総集編ではありませんでした。
全26話を2時間に集約するために、所々内容が変わっていたりしたのですが、それが上手い具合に編集され、改変されていました。
本編と異なるのはラブストーリー、メロドラマとしての色彩が濃くなっていたところです。
物語は、東京ジュピターが出現する前、神名綾人と美嶋遥が付き合っていた頃の冬から始まり、新年1月1日に東京ジュピターが突如出現して、東京にいた綾人と名古屋へ帰省中の車に乗っていた遥は離れ離れになってしまいます。
テレビ版では既に東京ジュピターが出来ていて、東京とその他の世界は東京ジュピターを隔て、行き来できない状態になっていました。
このような物語の前段階の話を入れたことにより、以降の物語を、綾人と紫東遙の胸中に注目しながら観られたと思います。
こういうのは、一気にストーリーが展開していく映画だからこそ出来ることで、テレビでプロローグを入れたとしても、何週もしたら最初に覚えた感情は冷めてしまうでしょう。


少し、僕の昔話をさせて下さい。僕が初めてラーゼフォンを観た時の話です。
ラーゼフォンでは最初、突如として東京が空襲に遭います。普通、空襲といったら、(自分の住んでいる大地が襲われたら)襲ってくる側が敵、被害を受けている側が味方という構図になると思うのですが、その空襲は全く逆で、空襲を仕掛けてきた側が味方だったのです。後にその空襲は、人類がムーリアンから東京を奪還するための準備として神名綾人を東京ジュピターの外に連れ出すためだったと分かりますが、その、味方が空襲を仕掛けてきていたというシチュエーションを想像したことのなかった僕は、アニメの中でその事実が発覚した時に物凄い衝撃を受けたのを覚えています。神名綾人が知った真実は他にも沢山あったので、僕以上に衝撃を受け、混乱したことでしょう。こういう自分の認識していた状況がコロッと引っくり返るようなのは結構好きです。世にも奇妙な物語とかヴァンパイア十字界(やりすぎな面もありますが)とかはこれに当てはまるので楽しく観たり読んだりしています。


本筋に戻りますが、朝比奈の話なんかも久しぶりに見たら凄く悲しくなってしまいました。ムーリアンとの同調が徐々に進行し、記憶を失っていく朝比奈は観ていられませんでした。
映画版を観たら、本編だけでは分からなかったことなんかも分かってすっきりしたのですが、やっぱり、第15楽章の「子供たちの夜」の話は未だに謎です。あの話がかなり昔の話だというのは分かるのですが、あの話に込めた製作者側の意図が分からないんですよねぇ。あの話、物凄く好きなんですけどね。
結論を申しますと、このDVD買って損はないと思います。終わり方もすっきりしていたし、めっちゃクオリティー高いです。
坂本真綾さんのtune the rainbowも素晴らしいです。


tune the rainbow (ラーゼフォン 多元変奏曲 主題歌) (通常盤)

tune the rainbow (ラーゼフォン 多元変奏曲 主題歌) (通常盤)