魔女の宅急便考察 part.1

魔女の宅急便 [DVD]

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今回は僕が昔に書いた、ジブリの名作、魔女の宅急便についての考察を載せたいと思います。
これはいつもより少し時間をかけて書いているので(映像を見た後に直に紙に書き出しました)、個人的にも質の良いものが出来たのではないかと思っています。
読み終わった後に、皆さんに少しでも新たな視点が芽生え、次に作品を見る時に新鮮な気持ちになって貰えたら幸いです。
まぁ、結構皆さんと同じようなことを考えているかもですが…。


<作品のテーマ>
この作品のテーマは「少女の自立」である。
主人公のキキは13歳になったら修行に出なければいけないという一族の掟に従い、田舎から大きな港町にやってきた。
その姿には、都会の華やかさに憧れ、田舎から単身都会へやってくる現在の少女の姿が映されている。
今日の少女が直面する自立とは、いかに自分の才能を発見し、発露し、自己実現するかである。
魔女の宅急便において修行の過程を描くということは、少女が自立をしていく過程を描くことであるといえるだろう。
そして、少女が本当に自立をしたと言えるには、経済面、精神面の2点で自立を果たすことが必要である。
現在、経済的自立は容易に出来てしまう。
したがって、この作品は主に少女の精神的自立に焦点を当てて構成されている。


もう一つのテーマは「女性の人生史」である。
この作品中には多くの女性キャラクターが登場する。
彼女たちは概して世代がずれていて、登場シーンはバラバラであるが、それを世代順に並び替えてみると女性の人生を辿ることが出来るのが分かる。関連性のありそうなキャラクターを世代順で具体的に並べてみると、キキ→ウルスラ→おソノ→キキがおしゃぶりを届けたお母さん→コキリ(キキの母)→パイを作った老婦人→ドーラ となる。
特に、ウルスラが成長後のキキを現しているのではないかという説が立てられるが、それは二人の声を同じ声優が当てていることや、エンディングでキキがノースリーブを着て屋根に座っているというウルスラ的描写にも確認することが出来よう。


<魔法について>
魔女の宅急便はこれまであった多くの魔女作品の様に、「魔法」は次から次へと奇跡を起こし全ての問題を解決してくれるものである、というような描き方をしていない。
この作品の中では、あくまで魔法は一能力でしかなく、万能ではない。
すなわち、キキの魔法は、現実の世界で誰もが持ちうる「才能」を意味する限定された力を指している。



part.2へ続く。
part.3かpart.4まで続く予定です。